京都地方裁判所 昭和60年(わ)880号 判決 1985年12月13日
本籍
京都市山科区川田前畑町四三番地
住居
同区川田御出町二六番地
会社員
駒井弘
昭和八年七月二七日生
右の者に対する相続税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官關本倫敬出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役四月及び罰金三六〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、駒井平四郎の三男で、京都市山科区川田御出町二六番地に居住するものであるが、全日本同和会京都府・市連合会会長鈴木元動丸、同連合会副会長村井英雄、同連合会事務局長長谷部純夫らと共謀の上、右駒井平四郎が昭和五九年一二月二四日死亡したことに基づく被告人の相続財産にかかる相続税を免れることを企て、実際の課税価額が一億七、九〇七万一、七四二円で、これに対する相続税額は三、五三四万五、九〇〇円であるにもかかわらず、被相続人の右駒井平四郎が有限会社同和産業から、八、〇五〇万円の債務を負担しており、被告人において右債務のうち六、七五〇万を承継し全額支払ったと仮装するなどしたうえ、昭和五七年六月二三日、京都市東山区馬町通東大路西入新シ町所在所轄東山税務署において、同署長に対し、相続財産の課税価額が一億一、一五七万一、七四二円で、これに対する相続税額は一、五六六万八、六〇〇円である(ただし申告書には特別農地の評価の誤りのため、課税価額が一億一、〇四七万一四二円で相続税額は一、五三九万二、一〇〇円と記載)旨の虚偽の相続税の申告書を提出し、もって不正の行為により右相続にかかる正規の相続額三、五三四万五、九〇〇円との差額一、九六七万七、三〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書二通(検第一七号及び第一八号)
一 駒井とも子、駒井英雄、西村トシエ、辻いと江、笹井カズエ、駒井陽子、村井英雄(四通、いずれも謄本)、長谷部純夫(謄本)、鈴木元動丸(謄本)の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書、証明書及び捜査報告書
(法令の適用)
一 罰条 刑法六〇条、相続税法六八条(懲役と罰金刑併科)
一 労役場留置 罰金刑につき刑法一八条
一 執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 大谷正治)